Slapp Happy 「Casablanca Moon/Desperate Straights」
今朝、AppleMusicのトライアル期間終了のお知らせが来ました。3か月、あっという間だったなあ。9月も終わりますね。気分はもう年末です。
さて、「無人島に持ってゆく1枚」という不毛な問いを投げられたら(実際は聞かれたことなぞない)、ちょっとズルしてスラップ・ハッピーのセカンドとサードが1枚になった「Casablanca Moon/Desperate Straights」と答えたいくらい、わたしはこのCDをずっと愛聴してるのだけど(次点・ブリジット・フォンテーヌの初期の作品)、試しにAppleMusicで探したら、「Desperate Straights」と、「Casablanca Moon」の裏版「Acnalbasac Noom」がヒットして少し驚いたのでした。スラップ・ハッピーみたいな多国籍アヴァンギャルド・ポップスもあるのねえ、と。(カンタベリー系とも分類されてるようですがそっち方面に明るくなく)
「Acnalbasac Noom」= 声に出して読みたい逆さまアルバムタイトル、「アクナルバサック・ヌーム」は、もともとはスラップ・ハッピーのセカンドアルバムとして録音されたものだったらしいのですが、前衛的な作風にレコード会社からのダメが入り1981年に正式リリースされるまでお蔵入りになったもの。(「アクナルバサック~」と曲順などはほぼそのままに、リ・アレンジされ1974年にリリースされたのが「カサブランカ・ムーン」)
好事家の間では、というか割と一般的に「カサブランカ~」より「アクナルバサック~」の評価の方が高いようにみえるのだけど、わたしは「アクナルバサック~」より先に「Casablanca Moon/Desperate Straights」を聴いたせいか、断然「カサブランカ・ムーン」派。小林一茶がモチーフになった愉快な一曲、「HAIKU」も入ってるし。
スラップ・ハッピーの代表作(?)である3枚のアルバムの内、一番キャッチーな「カサブランカ~」がAppleMusicになかったのは恐らく権利の関係なのでしょう。
少しだけ聴き比べ。
「A Little Something」(1974)『カサブランカ・ムーン』収録版
「A Little Something」(1981)『アクナルバサック・ヌーム』収録版
もっと分かりやすくアレンジが違うものもあるのですが、この曲が好きなのでぺたり。
カサブランカ版の囁くような甘いボーカル、間奏の優美なストリングスが好きです。
「Slow Moon's Rose」(1974)『カサブランカ・ムーン』収録版
「Slow Moon's Rose」(1981)『アクナルバサック・ヌーム』収録版
くるくるとゆっくり円を描きながらアルバムを締めくくる美しいワルツ。「アクナルバサック~」はこの曲の後ろにボーナストラックが4曲続く構成です。
「アクナルバサック~」verは若干エレクトリックというか、ホーンが入ってこない分、クールな印象ですねえ。 「カサブランカ~」verの方が感傷的。哀愁がある。
「The Owl」(1975)『Desperate Straights』収録
「A Worm Is At Work」(1975)『Desperate Straights』収録
Slapp Happy&Henry Cow名義でリリースされた「Desperate Straights」。前作よりさらに実験色が強いアルバム。タイトルを直訳すると「絶望一直線」。
敬虔なムードの「The Owl」から間髪入れず、各セクションが無邪気に大暴れな「A Worm Is At Work」への繋ぎが最高です。
全然関係ないけど、ふくろうカフェに一度行ってみたいなあ。