Jeanne Moreau 「Jeanne chante Jeanne」
日本語の音楽を続けて聴いていると感情移入し過ぎて疲れるのか、反動で全く言葉の意味が分からない国の音楽を聴きたくなったり。
昔、フランスなどのヨーロッパ圏とブラジル方面が「ワールドミュージック」と一括りにされてたりするのを見ると、英語圏以外=ワールドって乱暴だなあとよく思ったものですが、今はそんなことないのかな。
Jeanne Moreau「Jeanne chante Jeanne」(1965)
シャンソンというより、全体的にジャズ、ボサ・ノヴァ・テイストな女優ジャンヌ・モローの60年代のアルバム。ああ、そうね、確かにこの作品に関しては「ワールド・ミュージック」というカテゴライズがしっくり来るかもしれません。
ジャンヌ・モローって正直、声質的にシンガーとしての魅力をあまり感じないのですが、「味」としか言いようのない女優音楽らしい歌唱力の無さと、90年代受けのする妙に小洒落たアレンジが大好きで、わたしの中では飽きない名盤のひとつだったりします。
なんでジャンヌ・モローがべったりシャンソンでなくこういうダンサブルな音楽を作ってたのか謎ではあるんですが。(イエイエ路線にいかないのは分かる)
とにかく収録曲のイントロがやたらとイケてるんですよね、このアルバム。
ふた昔前、まだ渋谷が浮かれていた頃、FPM田中さんなんかがよくサンプリングしてたから、ある年代の人には聴きなじみのフレーズがあるかと思います。
「Les Voyages」
全曲、ジャンヌ・モロー本人が作詞してるらしいのですが、
『 旅…….、旅って素敵よ……』
とか、こんな感じの歌詞なんでしょうか。(持ってるのが輸入盤故に歌詞カードに和訳なし)
イメージ的にそんなもんであってほしい。
「Juste un fil de soie」(1本の絹糸)
jeanne moreau - les petits ruisseaux font les ...(小さな小川は大河に(そして私は愛し合う) )
どの楽器も躁状態ですこぶる楽しい。
Jeanne Moreau - Le vrai scandale c'est la mort ...(本物のスキャンダル,それは死)
本物のスキャンダル、それは死……?
ドラムが小気味よくはじけたあと、チャンチャカとギターが乗ってくるくだりが何度聴いても気持ちよい。
女優音楽における、「歌、あんま上手くないッスねえ~」とは口が裂けても本人には言えない、そんな無邪気な威圧感、万国共通な気がします。